RTK基準局を、装置に選ばせる
RTKを始めるとき、たいていは自分で基準局を探し、キャスターのアドレスとマウントポイントとポートを打ち込みます。移動するたびに、それをやり直します。KUON GEOは日本の公開基準局を丸ごと一覧で配っているので、装置の側で距離を測り、使ってよい局のうち最寄りに繋げます。実装は1ファイルです。
基準局を手で登録している、という問題
RTKは基準局の補正を受け取って成り立ちます。精度は基線長、つまり自分と基準局の距離が伸びるほど落ちます。ですから移動すれば、使うべき局は変わります。ところが実際には、一度登録した局を100km離れても使い続けることになりがちです。変えるには新しいキャスターとマウントポイントを人が調べ直す必要があるからです。
認証なしの一覧を、そのまま配る
KUON GEOは公開キャスタ(RTK2GO、BizStation、GeoRTK、Centipede-RTK)を10分ごとに巡回し、各局の名簿と死活を蓄積しています。2026年8月13日時点で日本に417局、世界では2,485局(米国122、フィンランド90、英国50、カナダ45、ポーランド42、ドイツ29ほか)。この一覧を、鍵も登録もなしで配っています。国を絞らなければ世界の局がそのまま返ります。
GET https://kuongeo.com/api/bases?jp=1&fmt=tsv&off=0&lim=500
1行に、位置、配信フォーマット、配信しているRTCMの種別、対応する測位系、ビットレート、認証が要るか、有料か、直近30日に何回応答したか、いま生きているか、が入っています。配っているのは名簿と死活だけです。観測データそのものは収集していません。
距離は、装置が測る
現在地を渡すと、部品は一覧を1行ずつ流し読みしながら、その場で大円距離を計算し、圏外の局を捨て、近い順に10件だけ残します。417局あっても小さなマイコンのメモリを食いません。全部を抱え込まないためです。
使い方は2行です。いちばん近い局を取り出して、host と mount と port を、いま使っているNTRIPの設定の場所に入れるだけ。繋ぐ部分は作り直しません。
実測した数字
北海道帯広(42.9236, 143.1961)で試したところ、50km圏内に14局、最寄りは12.3kmでした(2026年8月12日実測)。近い4局はすべて認証なし・無料・稼働中で、ユーザー名もパスワードも要りませんでした。装置が自分で選べば、何ヶ月も前に登録した局ではなく、12km先の局に繋がっていたことになります。
隠さずに書いておくこと
有料の局と鍵の要る局は、使う側で弾いてください。勝手に課金される道を塞ぐのは装置を作る側の責任だと考えているので、部品は判断せずに、その印をそのまま渡します。
Fixは約束できません。基線長、アンテナ、空の見え方で決まります。10km以内なら数十秒で入る見込みですが、40kmを超えると入らないことが増えます。carrSoln(0=単独、1=Float、2=Fixed)はそのまま表示してください。FloatをcmだとしてはいけないというのがGNSSの最低限の作法です。
費用について
一覧は配信網の側で120秒キャッシュしています。何台が問い合わせても、奥に流れるのは2分に1回です。1万台が1日3回叩いても、いま契約している枠の中に収まります。従量の計測も鍵も入れていませんし、入れる予定もありません。基準局の名簿は公共の財産であり、どの局が生きているかという情報も同じだと考えているからです。