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NTRIPとは?、RTK補正をネットで受け取るしくみ

RTKでcm精度を出すには、基準局の補正情報を受け取る必要があります。その補正をインターネット経由で届ける仕組みが NTRIP です。RTKを使うなら必ず出会う言葉なので、登場人物とつながり方をやさしく整理します。

基準局の補正を、ネットで配信する

基準局は、自分が受信した観測データを RTCM という形式で送り出します。これをインターネット(HTTPベース)で配信するのがNTRIP(Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)で、ローバーはこのRTCMと自分の観測の差を取ってcm精度を得ます。

登場人物:キャスター・マウントポイント・クライアント

NTRIPには3つの役があります。キャスター=補正を配信するサーバー。マウントポイント=キャスター上の各基準局の"チャンネル名"。クライアント=補正を受け取るあなたの受信機やアプリ。目的のマウントポイントに接続すると、その局の補正が流れてきます。

接続の流れ

受信機やアプリに、キャスターのアドレス・ポート・マウントポイント・ユーザー名/パスワードを設定して接続します。補正が届き、アンビギュイティが解ければRTK Fix(cm精度)になります。基準局が近い(基線が短い)ほど精度が上がります。

公開されている「善意」のネットワーク

世界には、有志が無料・善意で公開している基準局が数千あります(RTK2GO・BizStation・GeoRTK・Centipede-RTK など)。KUONでは、これらの位置・稼働状況・接続情報を地図とランキングで確認できます。基準局は公共財、感謝と節度を持って利用しましょう。

NTRIP は何の略か

Networked Transport of RTCM via Internet Protocol の略です。長いので分解すると、「RTCM を インターネット で 運ぶ」となります。

RTCM は補正データの形式の名前で、これを定めている団体(Radio Technical Commission for Maritime Services)の略でもあります。つまり NTRIP 自体は補正の中身ではなく、運び方の取り決めです。中身は RTCM が決めています。

仕組みは HTTP に近く、そのおかげで普通のインターネット回線と携帯回線でそのまま流せます。かつては無線機で飛ばしていたものが、電話網に乗ったと考えると分かりやすいです。

NTRIP クライアントとは、どれのことか

補正を受け取る側のソフトウェアを NTRIP クライアントと呼びます。三つの形があります。

受信機に内蔵されているもの。測量機の多くは、本体に接続先を設定すれば自分で繋ぎに行きます。

スマートフォンのアプリ。Android には無償のものがいくつもあり、Bluetooth で受信機に補正を渡します。iPhone は Bluetooth の扱いが Android と違うため選択肢が少なく、アプリと受信機の組み合わせを先に確かめる必要があります。

パソコンのソフト。RTKLIB の str2str や rtkrcv がこれにあたります。設定は細かいですが、記録も同時に取れます。

キャスター・サーバー・クライアントの関係

サーバーが基準局から補正を送り出し、キャスターがそれを預かって配り、クライアントが受け取ります。ラジオでいえば、放送局がサーバー、送信所がキャスター、受信機がクライアントです。

利用者から見えるのはキャスターだけです。キャスターの住所(ホスト名とポート)に繋ぐと、マウントポイントの一覧が返ってきます。これが「どの基準局の補正を聞くか」の選局にあたります。

一覧には、局の位置、対応している衛星系、データの形式が載っています。自分の場所に近く、自分の受信機が扱える形式のものを選びます。

繋がらないときに、見る順番

1. 認証。利用者名とパスワードが要るキャスターがあります。無償公開でも登録制のことがあります。

2. ポート。2101 が慣例ですが、別の番号のこともあります。社内網や公衆回線でそのポートが塞がれている場合もあります。

3. マウントポイント名。大文字と小文字を区別します。一覧に出ている綴りをそのまま使います。

4. 位置の送信。ネットワーク型(VRS など)では、クライアントが自分のおおよその位置を送る必要があります。これを送らないと補正が返ってきません。GGA 送信という設定項目です。

5. 局が生きているか。公開局は予告なく止まります。KUON GEO の一覧では、局ごとの死活を実測して並べています。繋がらない原因が自分の設定なのか、相手が止まっているのかを、先に切り分けられます。