北海道十勝 2025年8月と9月 実測
基準局の高さを1つ間違えると、地図はどこまで狂うか
同じ道の同じ場所で、水平は 0.53 m 合っているのに、標高だけが 122 m 違っていました。受信の乱れでも、空の見え方でもありません。3日ぶん22本のログを突き合わせた記録です。
何を測ったか
北海道十勝で走った NMEA のログ22本、20,566点、走った距離199.3 kmです。うち2日は RTK が効いていて、1日は補正が一度も届いていませんでした。
| 日付 | 距離 | 点の数 | 測位の内訳 | 標高の範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 2025-08-16 | 57.3 km | 4,857 | RTK 固定解 90.1% / 浮動解 9.1% / 単独 0.8% | -76.2 〜 18.5 m |
| 2025-08-19 | 75.2 km | 9,307 | RTK 固定解 74.2% / 浮動解 14.8% / 単独 10.9% | -30.3 〜 445.4 m |
| 2025-09-08 | 66.8 km | 6,402 | 単独測位 100% | 86.0 〜 545.7 m |
8月19日と9月8日は、同じ道を通っています。全体でも、280 m 四方に拡大しても、2本の線は重なります。
標高だけが 122 m 違う
20 m ほどの枡に丸めて、両方の日が入った枡だけを比べました。2,932個です。差の中央値は 122.37 m、四分位は 121.73 m から 122.83 m でした。
受信が乱れているなら、差はもっと広く散ります。1 m ほどの幅に収まるのは、両日の高さの基準そのものが平行にずれている形です。
水平は合っている
9月8日の各点から、8月19日の走行線までの垂線を測りました。照合できた3,288点で、中央値 0.53 m、4分の3が 0.95 m 以内です。
同じ車線を2回走ったときの幅と変わりません。水平方向に、ずれは見当たりませんでした。
ずれているのは、どちらの日か
南の端では、8月19日の記録は海面より 30 m 下を走ったことになります。十勝の内陸で標高が負になることはありません。ずれているのは、RTK で記録した側です。
なぜ高さだけがずれるのか
RTK は、基準局からの相対で位置を出します。基準局に入れた座標は、そのまま動く側の解に乗ります。緯度と経度が正しく、高さだけが低く入っていれば、動く側の高さだけが同じ量だけ下がります。今回の形は、これと一致します。
ジオイド高(楕円体からの高さと標高の差)は、両日とも 27.33 m から 27.55 m の範囲で、同じ値が記録されていました。ジオイドの取り違えではありません。
実測したのは、水平が 0.53 m、高さが 122.37 m ずれている、という2つです。受信機と基準局の設定そのものは見ていません。原因を基準局の入力高とするのは、ここまでの数字と整合する見立てであって、確認した事実ではありません。
自分のログで同じ点検をする
- 同じ道を、別の日に2回走ります。片方だけでは基準のずれは見えません。
- 受信機の NMEA のログを残します。$GPGGA に標高とジオイド高と測位の質が入っています。
- GPS ログ変換に投げて、GPX か CSV に直します。ブラウザの中だけで処理され、ログは外に出ません。
- 20 m ほどの枡に丸めて、両方の日が入った枡の標高差の中央値をとります。
- 差の幅が 1 m ほどに収まっていたら、受信ではなく基準の問題です。
高さの誤差は、水平のおよそ2倍の大きさで出ます。単独測位でも数 m の範囲です。100 m の単位でずれていたら、電波ではなく入力を疑ってください。
使ったデータ
図はこの2日ぶんから作りました。NMEA の原本から、位置と時刻と標高と測位の質を取り出したものです。測位の質ごとに線を切ってあります。